意識した思考はとても遅い。 どのくらい遅いかというと、 言葉に出して思考の筋道を話すことができるくらいだから、 推論の 1ステップに数秒かかったりする。 しかも、脳の短期記憶は 7+α しか覚えられないと言われるから、 中間結果を覚えておく容量もとても小さい。 だから、紙に書き出したり、カードを使って考えたりする。 書いたりカードを並べ替えたりしなければならないので、 さらにスピードが遅くなる。
では、なぜ人は、 コンピュータ顔負けのスピードで思考できるかといえば、 無意識に膨大な推論を行えるからだろう。 よく「ひらめき」とか表現されるが、 要は無意識に行った推論の結果が意識にのぼるから、ひらめく。
同時に一つのことしか考えられない、というが これは意識した思考のこと。 意識は (多重人格者でもなければ ^^;) 一つしかないし、 一つの意識では、7+α の短期記憶しかないから 一つのことしか考えられない。
無意識の思考にはこのような制限はない。 いくつでも同時に思考を走らせ、 結果が得られたらそれを意識にのぼらせればよい。
私が初めて、同時に複数の思考が行われたのを意識したのは、 大学入試のときだった。 早稲田大学の数学の試験だったと記憶しているが、 設問を順に解いていったが、 ある設問を考えていく途中で、行き詰ってしまった。 あまり一つの設問に時間をかけすぎるのは得策でないので、 その設問は後回しにすることにして、次の設問に移った。
次の設問を解き終え、 さらにその次の設問を解いている時だっただろうか (なにぶん 20年以上昔の話なので詳細は覚えていない)、 突然、さきほど行き詰った設問の解き方が頭の中にひらめいた。 そのときは別の設問に集中していて、 少なくとも意識からは完全にその設問のことは忘れ去っていたにも かかわらず、である。
そのときの「ひらめき」の体験があまりに鮮明だったために、 今でも覚えているし、 どうやったら無意識の思考をより活性化させることができるか、 考えるようになった。 意識しなくても思考が続くように、 しかも有意な結果が導かれるようにしなければならないのだから、 そんなに容易ではないが、 日頃から深く考え続けているような事に関しては、 ひらめく頻度が高いように感じる。 おそらく無意識で考え続けているのだろう。
アイディアを次から次へとひらめく人は、 無意識の思考が多数同時に進行しているのだと思う。
直感ってモデリングと並列計算能力じゃないかなあ
大学時代のサークルの後輩で、心理学専攻している奴がいた。 すご…
Comment by ここギコ! — 2006年4月16日 @ 12:04
直感ってモデリングと並列計算能力じゃないかなあ(2)
弾さんへのレス。(私の方の元記事)。 量子コンピュータ!=並列…
Comment by ここギコ! — 2006年4月16日 @ 12:11
はじめまして。
似たような話題について以前書いたのでTB打たせていただき、こちらからもリンク貼りました。
私はひらめきというのは厳密な帰納的・論理的思考ではなく、モデリングされた経験パーツの、I/F整合性をバックグラウンドで総当り計算しているようなもんだじゃないかと思ってます。
工芸技術なんかの匠の勘とかいう奴も、長年の経験でモデリング化された状況把握処理じゃないかなと思います。
能力差は、モデリングの正確さ・粒度の適切さ(経験の長さや筋の良さに従う)や、モデル同士の適合性をスキャンする速度の速さとかで変わってくるのかなと。
Comment by ねね — 2006年4月16日 @ 12:21
人の「意識」は心の中心ではなく、脳の様々な活動のロガーに過ぎなかった!
唐突に何かを「ひらめく」という経験は誰しもあるだろう。
「ひらめき」が天から降ってくる、というのは考えにくいので、
意識はしていないもの何らかの思考が脳の中で行なわれ、
その思考の結果が意識にのぼったとき、
「ひらめく」と考えるのが自然だろう。
こ….
Comment by 仙石浩明の日記 — 2006年8月3日 @ 09:33
どうやったら無意識の思考をより活性化させることができるか
そうだったのか! 同時に思考で検索して出てきたTOPにある仙石浩明の日記・同時に…
Comment by 激突体当たり! — 2008年1月21日 @ 04:27