弊社の面接で(私に)よく聞かれること、 面接官自身が語る面接攻略法の三回目。
多くの企業同様、KLab の面接でも「前職でいくらもらっていたか」は 当然のように質問します。 が、それは前職給に基づいて給与を決めるため、というわけでは決してなく、 KLab の給与体系にスムーズに移行できるか判断するためです。
世間一般的には、まだまだ年功序列の給与体系のようで、 年齢が高くなるとどうしても給料が高くなる傾向にあります。 例えば先日面接した人は、 5年前から成長が止まっているように見受けられました。 5年間さしたる進歩もないのに、 給料のみが上がってしまっている、 いまさら 5年前の給料で雇うのも無理な話ですし、 5年間成長が止まっていた人が転職で突然伸び始める可能性は 低いと判断せざるを得なかったので 不採用となりました。
もちろん「成長が止まっていた」というのは私から見た主観であって、 当人からすれば 5年間の間にいろいろ経験を積んできたと思っているのでしょう。 実際、職務経歴書にはいろいろなプロジェクトが列挙してありました。 しかし、どのプロジェクトについても別段思い入れがあったわけでもないようで、 「印象深かったプロジェクトを、一つだけでいいので事細かに詳しく説明して下さい」と お願いしても、どういう製品を開発したのか説明するだけだったのです。 私としては、どう言う点を困難と感じ、どのように工夫し、何を学んだか等々を 聞きたかったのですが、 ついにそういう話は聞けずじまいでした。
「給与の経路依存性と二極化」から引用:
キャリアって「何をやったことがあるか」もあるけど 「前職でいくらもらっていたか」というのも大きいんだよね. 誰も絶対的な給与水準の感覚なんてないから, どうしても「前職でいくらもらってましたか?」というのが重要な基準となる.
そうでしょうか? KLab には KLab の「絶対的な給与水準の感覚」があります。 もちろん面接の短い時間で、 どのくらいの能力を持っている人か正確に把握することは困難ですが、 実際に 3ヶ月~半年も一緒に働けば、 同じ職種の誰より上で誰より下の実力、 なんてのは誰の目にも明らかになるものだと思います。 だから KLab で前職給を聞くのは、 給与を決める際の基準にしようというわけでは決してなく、 KLab の給与体系にソフトランディングさせることが可能か判断するためです。
同ページから再度引用:
人事がまともなら移行期間は前職の給与だけど, だんだんと企業内部の給与水準に収束させる訳だけど, 誰かの給与を下げるためには結構まじめに説明可能な管理をする必要があって, なかなか大変だったりする. そうやって経路依存的な問題で所得が二極化しているのに, それを実力主義だとか抜かしたら大きな間違いだ.
給与を下げるのは実際大変です。しかし、 実力主義を標榜する以上、 成長にともなって給料が大幅に上がる人が出てくる一方で、 変化に適応できずに給料が下がる人が出てくることは避けられないことです。 「結構まじめに」どころか大変な労力をかけて話し合い、 お互い納得した上で降格を実施しています。
確かに面接では把握し切れなかった能力の低さが入社後に発覚し、 実力と給与のミスマッチが生じるケースも無いわけではありませんが、 不幸にもそういうケースが起きてしまったときは誠心誠意全力で対応し 是正するよう努めています。 お互い納得しあうまで何時間も話し込むこともあるわけですが、 それは実力主義を維持するために当然払うべきコストだと思っています。