仮説: ロングテール戦略が格差社会を生む
の検証の一回目 (全七回を予定)。
究極の搾取
剰余価値が生まれて以来、 持つ者が持たざる者を 搾取する、 という構図は変わらない。
産業革命の時代、資産とは生産諸手段だった。
情報革命の今日、資産とは知能である。
頭のよい者が儲け、頭がよくない者は自覚のないままに搾取されている。 搾取と言っても、一人一人の額は微々たるものだから、気付かないのだろう。 たまに、「ボロ儲け」した奴はけしからん、と一部の金持ちが槍玉にあげられるが、 本当の金持ちは目立たないようにしているものだ。 一人一人に対する搾取は極めて少額でも、 情報技術の力によって集めれば莫大な額になる。
かつて「搾取」が持っていた暗いイメージはもはやない。 産業革命時代の搾取と違って、 今日の搾取には悲惨さは微塵もない。 かつての搾取はその悲惨さによって下層階級を固定していたが、 今日の搾取にはその力はない。 したがって産業革命時代と異なり、 今日は搾取それ自体が格差社会を生んでいるわけではない。
その一方で、富を集積する力は従来と変わらず圧倒的である。 しかも、産業革命時代の機械と比べると、 今日のコンピュータおよびネットワークは、 費用対効果が極めて高い。
圧倒的な効率で富を集積する力を持ち、
しかも負の側面をほとんど持たない。
まさに究極の搾取と呼ぶにふさわしいだろう。