仙石浩明の日記

2022年3月9日

所得税を分割して、複数の高還元率クレジットカードを何回も使って納付してみた hatena_b

所得税の納付は、 確定申告書等作成コーナー経由だと全額一括払いになってしまうが、 国税クレジットカードお支払サイトを直接アクセスすることで、 任意に分割して支払うことができる。

この「お支払サイト」は、 氏名、住所、電話番号、納付先税務署、納付税目 (申告所得税及復興特別所得税) を入力した上で、 クレジットカードで任意の金額を支払う仕組みになっている。 それぞれの納税者が合計いくら納付済みか集計するには、 納税者と一対一に対応する ID (識別番号) が必要だが、 ID の入力は求められない。 つまり支払うだけの納付専用サイト。

e-Tax を使って確定申告を行った納税者なら e-Tax の 「利用者識別番号」が ID になるが、 e-Tax を使わなくても確定申告はできるわけで、 「お支払サイト」としては ID 無しで納付できる仕組みにするしかないのだろう。

この仕組みだと税務署側で、 「お支払サイト」 から送られてきた納付データと、 確定申告のデータを突合する作業が必要になる。 やっぱり手作業? DX への道は遥か遠い。 個人番号 (マイナンバー) を ID として入力させればいいのにねぇ...

ID とは言えないものの各税務署が「整理番号」を発行していて、 この「お支払サイト」でも「整理番号」を入力することができる。 整理番号の入力は必須ではないが、 入力しておくことで税務署の人たちの突合の手間を減らし、 間違いが起きるリスクを減らすことができるだろうから、 自分の「整理番号」を調べて入力したほうがヨサゲ。

Tax Payment Statement

整理番号は、 e-Tax のメッセージボックスに届く 「確定申告等についてのお知らせ」に記載されている他、 毎年 1月下旬に郵送で届く「確定申告のお知らせ」 「確定申告の納付書」や、 還付金がある場合は「国税還付金振込通知書」にも記載されている。

所得税をクレジットカードで支払う場合、 税額 1万円につき決済手数料 76円+消費税がかかる。 例えば所得税が 99万1円〜100万円の範囲なら税込 8,360円 (つまり 0.84%) もの決済手数料を払う必要があるわけで、 決済手数料より高いポイント等がもらえる高還元率クレジットカード (還元率が 1% 以上) でないと意味がない。

ところが高還元率クレジットカードは、 ポイント等の還元率が高いいっぽう還元を受けられる上限額が低いことが多い。 例えば「Visa LINE Pay クレジットカード」(以下「LINEカード」と略記) は、 支払額の 2% の LINE ポイントがもらえるが、 税金/保険において、1回あたりの支払につき 5万円を超える分は、 ポイント還元の対象外となる。

また、ソニー銀行が発行する「Sony Bank WALLET デビット付きキャッシュカード」 (以下「Sonyカード」と略記) は、 Club S のステータスに応じて最大 2% のキャッシュバックがもらえるが、 寄付、納税、公共料金などの支払ではキャッシュバック合計額が最大 1万円/月までとなる。

どちらの高還元率カードも、 所得税を分割して納付することで上限額を超えてしまうことを回避できる。 LINEカードの場合は 1回 5万円ずつ複数回に分けて払えば 2% のポイントが得られるし、 Sonyカードの場合は (確定申告を 2月に行えば) 50万円ずつ 2月と 3月の 2回に分けて支払うことで各月 2% 満額 1万円のキャッシュバックが得られる。

例えば 140万円の納税を行う場合なら、 2月と 3月に Sonyカードで 50万円ずつ納付し、 3/15 までに LINEカードで 5万円ずつ 8回納付すれば良い。

実際の納付では決済手数料がかかるので、 Sonyカードでは納付額 495,820円と決済手数料 4,180円を、 LINEカードでは納付額 49,582円と決済手数料 418円を払うことになる。 ここで注意すべきなのは決済手数料が 1万円単位で、 1万円に満たない端数は切り上げられるという点。 分割の仕方によっては余計な決済手数料を払うことになってしまう。

例えば所得税額が 12万300円だった場合、 一括で納付すれば決済手数料は税込 1,086円 (=13*76*1.1) だが、 3等分して 4万100円ずつ納付すると決済手数料は税込 1,254円 (5*76*1.1 = 418円ずつ 3回) になってしまう。 3回に分けて納付したときの決済手数料を一括納付の場合と同額にするには、 まず 4万300円を納付 (決済手数料 5*76*1.1 = 418円) し、 残り 2回は 4万円ずつ納付 (決済手数料は 4*76*1.1 = 334円ずつ) すればよい。

というわけで、 所得税 1,390,400円を 9回に分けて 5枚のクレジットカードで納付してみた。 決済手数料は計 11,702円なのに対し、 キャッシュバックやポイント等で計 28,241円の還元を得た。 差し引き 16,539円の利益。

納付日税額手数料支払額カード還元額
2022-02-19495,820円4,180円500,000円Sony10,000円
2022-02-1949,582円418円50,000円LINE1,000円
2022-02-2479,996円668円80,664円Diners403円
2022-02-2540,000円334円40,334円LINE806円
2022-03-0240,000円334円40,334円LINE806円
2022-03-03100,000円836円100,836円SMBC NL3,025円
2022-03-0749,182円418円49,600円LINE992円
2022-03-08495,820円4,180円500,000円Sony10,000円
2022-03-0840,000円334円40,334円Toyota1,209円
合計1,390,400円11,702円1,402,102円28,241円

LINEカードでの支払は、 同じ納税を何度も繰り返すとポイント付与を止められるかも?と思って、 ポイント付与を確認して (さらに LINE証券へ送金して) から次の支払を行った。 幸い今回は 2% 満額の LINE ポイントを得たが、 分割納付する人が増えるとポイント付与ルールが改訂されるかもしれない。 もっとも、2% 還元自体が 2022年4月30日までであり、 5月以降どうなるか不明。

「三井住友カード ゴールド(NL)」(上表では「SMBC NL」と略記) は、 「最大30,000円相当の XRP交換券 プレゼントキャンペーン」(4月30日まで) を行っているので、 支払額の 3% 相当の XRP (暗号資産) が付与される。 また、 このカードには 「年間100万円のご利用で翌年以降の年会費永年無料」特典があり、 この納税で年間利用額 100万円を達成できた。

「ダイナースクラブカード」(上表では「Diners」と略記) は、 この納税で年間利用額が 60万円に達したので、 次年度の年会費が無料になる。 ポイント還元率はわずか 0.5% だが、 24,200円の年会費が無料になるのは大きい。

「TOYOTA Wallet」(上表では「Toyota」と略記) は、 物理的なカードが無いバーチャルカードで、 他のクレジットカード等から残高をチャージして使う。 残高の上限は 5万円なので 5万円を超える支払には利用できない。 実店舗では iD または Mastercard コンタクトレス (Apple Pay のみ) として使える。 支払額の 1% が残高にキャッシュバックされる。

オンライン支払では、 カード名義が 「TOYOTAWALLET MEMBER」 固定なので、 利用できないサイトも多いが、 そもそもこの 「お支払サイト」 はトヨタファイナンス(株)が運営するサイトなので、 同じトヨタファイナンスなのだから使えるかも?と思って試してみたら、 あっさり納付完了してしまった。

残高のチャージを高還元率カード、例えば Sonyカードで行えば、 チャージの際に 2% のキャッシュバックが得られるので、 TOYOTA Wallet のキャッシュバックと合わせて 3% の還元率となる。 上限が同じ 5万円なら、 LINEカードでなく最初から TOYOTA Wallet を使えばよかった。(^^;

Sonyカードはクレジットカードではなく Visaデビットだが、 決済代金が即引き落とされること以外はクレジットカードと変わらない。 もちろん 3Dセキュアに対応している。 高還元率カードとしては群を抜いている (しかも還元はポイントではなくキャッシュバック!) と思うのだけど、 イマイチ認知されていないのは何故だろう?

Filed under: 経済・投資・納税 — hiroaki_sengoku @ 08:15

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