年末に香港へ行って電脳街を巡るのが毎年の恒例行事になってきた。 香港の電脳街は、 すでに秋葉原を追い越した感じがする。 近頃の秋葉は面白いモノをあまり見かけなくなり、 たまに見かけても、 大抵は香港などで流行ってるモノを単に持ち込んだだけで、 しかも値段は香港の倍以上だったりする。 デフレと言われて久しい日本だが、 PC にしろケータイにしろ値段が高すぎる。 これから発展していくアジアと、 これから衰退していくだけの日本ということなのか。
いつものように深水埗の高登電腦中心を巡回していたら、 大一(香港)有限公司で IDEOS U8150-B を HK$1380 で売っているのを見つけた。 U8150-B といえば来年1月中旬にイー・モバイルから発売される予定の Pocket WiFi S (S31HW) の同型機。 ただし、 ファーウェイによれば、 グローバル展開されている 「IDEOS」 と日本向け S31HW は別の製品、 ということらしい。 なぜ日本は 「グローバル展開」 の対象ではないのだろう?
「Pocket WiFi S」は、 音声通話機能とAndroid™ 2.2を搭載したWi-Fiルーターです。 Android™ 2.2搭載端末としては国内最安※1となる端末価格19,800円(税込)での提供と、 国内最軽量※2の重さ約105gサイズを実現しました。イー・モバイルの発表から引用
「国内最安」 「国内最軽量」 つまり世界基準では安くもなければ軽くもないということ。 本来 Android は 2.2 froyo 以降からデフォルトで 「ポータブルWi-Fiアクセスポイント」 として使えるのに、 わざわざ 「Wi-Fiルーター」 と呼んでいるあたりにも、 いかに日本が世界標準からずれてきてしまっているかを感じる。
とはいえ、 日本では 19,800円でしか買えない端末が HK$1380 (約 14,500円) で買えるのなら悪くない。 思わず衝動買いしてしまった。 画面が QVGA (2.8" 320x240) だったり、 内蔵カメラが貧弱 (一応 320万画素なのだが...) だったり、 CPU が MSM7225 528MHz だったりと、 Android 端末としては見劣りするものの W-CDMA I/II/V/IX (2100/1900/850/1700MHz) に対応したスマートフォンが 15,000円弱で買えるとなると、 一気に普及が進むヨカン。 ちょうど 2年前、 ここ香港で 4バンド GSM 機を HK$899 (約 10,000円) で買ったのが遠い昔のことのようだ。
中華 Android 端末なんて 「安かろう悪かろう」 だろうなどと思ってはいけない。 カスタマイズしすぎて Android とは別物になりつつある国産スマートフォンより、 よほど素直で使いやすい (そして圧倒的に安い)。 買った当初は値段相応の期待しか持っていなくて、 メイン端末が壊れたときなどの非常用端末くらいの感覚だったのだが、 高解像度の画面 (およびマルチタッチ) を必要としないアプリのほとんどがそのまま動いてしまった。 これなら非常用としてだけでなく、 大きな端末を持ち歩きたくない時とかにも使えそう。 Android 2.2 へアップデートできない一部の国産 Android 端末だと、 動かないアプリが沢山でてきてしまう。
ただし、 多くのアプリ開発者が QVGA などという尋常でない低解像度を想定していないためか、 Android マーケットでダウンロードできないアプリが少なからずある。 そういうアプリも別の Android 端末でダウンロードして得た apk ファイルを、 「adb install」 コマンドなどで IDEOS へインストールしてみると、 ほとんどが特に問題無く使えるようだ。
購入時のファームウェアは、
Androidバージョン | 2.2 |
---|---|
ベースバンドバージョン | 2210 |
カーネルバージョン | 2.6.32.9-perf huawei@product #1 |
ビルド番号 | U8150V100R001C127B818SP05 |
だったが、 この 「ビルド番号」 だと、 日本の一部(?)のキャリアの SIM でデータ通信できないという問題がある (音声通話は可能)。 例えば、 ドコモの SIM で mopera U を使う場合は 3G 通信可能だが、 ソフトバンクの銀SIM/黒SIM や、 WILLCOM CORE 3G の SIM では接続できなかった。
Huawei のページで U8150 のファームウェアを検索してみると、
Product | Software Name | Release Date |
---|---|---|
U8150 | U8150 V100R001C02B82 7SP02(Italy Vodafone ) | 2010-12-15 |
が見つかった。 Italy Vodafone と書いてあるあたりが気になるが、 google で検索してみると、 このファームウェアを書込んだら 3G 通信できるようになった、 という旨のページを見つけた:
huaweidevice.comのサイトから、 「U8150 V100R001C02B82 7SP02(Italy Vodafone ) Host Software」 をダウンロードして解凍し、 出てきたファイルをmicroSDにコピーして、 ボリューム上と終話ボタンを押しながら電源を入れればファームアップが始まります。 一度目最後に失敗したら一度電池を抜いてもう一度同じ操作をすれば、ファームアップが正常に完了です。
ファームアップ後は、 まっさらに初期化されるため、 最初から設定しなおしです。 とはいえ、Andorid2.2とマーケットアプリのおかげで、 Googleアカウントを入れれば、 アプリも全部自動で勝手にマーケットからダウンロードして復活してくれるので楽です。 ファームアップ後のrooted も可能です。こばこのひみつ から引用
さらに、 元のファームウェア V100R001C127B818SP05 も Huawei サイトからダウンロードできるようなので、 最悪の事態になっても元に戻せるだろうと思い、 上記ファームウェアを IDEOS に書込んでみた。 ファームウェアに同梱されている 「U8150 Software Upgrade Guideline」 に書込み方法の説明がある (英語版とイタリア語版の説明書が同梱)。
「こばこのひみつ」 に書かれている通り、 書き込みの最後で 「失敗」 するのだが、 いったん電池を抜いて再起動すると正常に起動した。 また RageAgainstTheCage exploit を利用して root 権限を再取得できた。
更新後のバージョンは以下の通り:
Androidバージョン | 2.2 |
---|---|
ベースバンドバージョン | 22201003 |
カーネルバージョン | 2.6.32.9-perf huawei@product #1 |
ビルド番号 | U8150V100R001C02B827SP01 |
ダウンロードしたファームウェアのファイル名は末尾が 「...7SP02」 だったのに、 ビルド番号が 「...7SP01」 なのが気になるが、 ソフトバンクの銀SIM や WILLCOM CORE 3G SIM で試してみたところ、 正常に 3G 通信できている。